愛する娘を救うため、家族がすべてを懸けて挑んだ奇跡の実話――映画【ディア・ファミリー】。その感動の裏側には、1970年代の風景を求めた執念のロケハン、実在の工場を止めてまで行われた撮影、そして実話に誠実であろうとする制作陣の覚悟がありました。本記事では、本編だけでは語られない撮影秘話をネタバレありで徹底的にまとめます。
映画【ディア・ファミリー】の撮影秘話について解説します。
※本記事ではネタバレ等の記載があります。ストーリー等を知りたくない方はご注意下さい。
今回紹介するのは、下記の「3点」です。
1.ロケーションの撮影秘話は?
2.実在モデルの実際の秘話
3.出演陣の撮影秘話は?
ロケーションの撮影秘話は?
愛知県を舞台に選んだのは?
筒井宣政さんの世界的偉業と、家族が背負った葛藤を描く実話だからこそ、本作は「その土地の匂いをかぎに行かなければ」との流れを基に愛知県・春日井市に。
物語の核となるシーンは、ビニール樹脂工場の昌和工業を拠点に撮影が行われています。この工場を中心にできたことは、制作側にとっても大きな幸運だったそうです。
映画では1970年代から2000年代まで、4つの時代を描いていますが、特に1970年代の風景が今も残る場所は非常に貴重。
工場の技術や空気感をリアルに映し出すためには、実際にものづくりの歴史が息づく愛知県で撮る必要がありました。だからこそスクリーンに映る風景には、作り物ではない説得力があります。
個人的には、物語の感動だけでなく、「この場所でしか撮れなかった」という背景を知ることで、本作における撮影陣の拘りが知れて良かったです。
名古屋駅のシーンは…
本作の時代検証を象徴するのが、冒頭で坪井宣政(大泉洋)がアフリカから帰国し、1970年代の名古屋駅を俯瞰で映し出すワンカットです。
制作陣は「当時の名古屋駅をどう再現するか」という難題に直面しましたが、なごや・ロケーション・ナビの尽力により、市役所が保管していた“たった一枚の写真”を発見。その写真を手がかりに、「一色さかな広場」の広大な駐車場を使って撮影が行われました。
建物や看板、車、タクシーに至るまで、画面に映る街並みのほとんどはCGで再現されています。高所作業車を使った撮影や、車両・エキストラの配置、美術とVFXの細かな役割分担など、入念な検証を重ねて完成した一瞬です。
決して派手さはないものの、観客に違和感を抱かせないためのVFXが、ここでは最大限に力を発揮しています。
個人的には、このシーンがとても気になっていました。「コレは実写?」って本編を観ながらも考えてしまうぐらいでした。
“CGだと気づかれない”こと自体が成功の証だと感じました。物語に自然と引き込まれ、1970年代へ一緒にタイムスリップさせてくれてるようでした。まさに職人技って感じです。
【VFX】で再現された
— 映画『ディア・ファミリー』公式 (@dear_family_) June 30, 2024
1973年の名古屋駅前
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 🎞️
アクション映画やSF作品で
使用されると思われがちな"VFX"
映画『ディア・ファミリー』では
当時の時代感を限りなく再現するため
1973年の名古屋駅前を撮影した
一枚の写真を頼りに"VFX"で再現しました✨#ディアファミリー pic.twitter.com/Ye7bxG9quj
工場のロケハン…
本作のロケハンは、春日井市を拠点に愛知県内で行われましたが、制作陣は当初から「相当苦労するだろう」と覚悟していたそうです。
1970年代の風景をそのまま残す場所はほとんどなく、道路の白線や標識、周囲の建物に至るまで、現代的な要素を美術やCGで加工することが前提でした。
制作部は手分けして、取り壊し間近の繊維工場や廃墟に近い工場、実際に稼働している樹脂工場などを丹念に回り、オープンセットの建設も視野に入れて交渉を重ねます。
そんな中で出会ったのが、主要ロケ地となった昌和工業さんでした。古い建物の佇まい、事務所、路地のような空間、門からの全景ーそのすべてが作品の世界観にぴたりとはまり、美術・撮影・監督が口をそろえて「ここだ」と確信したといいます。
ものづくりの運命的な巡り合わせってあるんだなぁ~って感じました。リアルな空気感は、こうした粘り強いロケハンと直感の積み重ねから生まれるのだと改めて感心しました。
最終的には全面協力に…
工場での撮影は休みの土日が中心だったものの、それだけでは日程が足りず、平日に何日も操業を止めてもらう必要があったそうです。
しかも稼働中の敷地内にオープンセットを建てるという、通常では考えられない条件での撮影は業務への影響も大きいにもかかわらず、工場側はすべて快く受け入れてくれたそうです。
更には住み込みで働くベトナム人従業員も一時的に移住してもらい、敷地内の別会社は移転。照明機材や備品を置くための倉庫まで貸し出したという、まさに全面協力体制でした。
こちらの風岡社長ご夫妻と従業員の皆さんの理解と厚意がなければ、この工場での撮影は実現しなかったと言っても過言では無いと感謝されていました。あまりの協力体制に驚かされます。
撮影最終日、大泉洋さんと菅野美穂さんが「ありがとうございました」と深く頭を下げ、風岡社長と握手を交わす姿があったとか。
昔の新幹線の撮影秘話は?
本作では、主人公・宣政が名古屋から長野や東京の医師を訪ねるため、1970~90年代の新幹線移動シーンが物語の重要な軸になっています。
その再現に選ばれたのが、名古屋の「リニア・鉄道館」。宣政が実際に乗っていた当時の新幹線だけでなく、長野へ向かう列車も展示、それも年代ごとに違う車両が揃っていたそうです。
近年は撮影許可が非常に難しい施設と言われていましたが、なごや・ロケーション・ナビの協力により、作品内容と新幹線の関係性が評価され、奇跡的に撮影が実現。
1970年代・80年代・90年代、それぞれの時代設定に合わせた実物車両で撮影できたことは、これまでにない大規模な試みだったそうです。
特に印象的なのは、宣政が新幹線の車内で涙を流すシーン。実際の車両で撮影されたからこそ、作り物ではない重みと切実さが画面に宿っています。
このエピソードを知ると、新幹線のシーンが、どれほどの熱意と協力の上に成り立っているのかが伝わってきます。
実在モデルの実際の秘話
人工心臓を研究するために会社を設立
1981年、筒井宣政さんは娘を救うため、人工心臓の研究を行う会社「東海メディカルプロダクツ」を設立します。
手術費用として貯めていた2500万円をすべて投じ、さらに国の助成金も受けながら研究を重ね、総額8億円を費やして試作段階までたどり着きました。
技術的には、あとは臨床試験を残すのみ──誰もが「もう少しで完成」と感じる地点まで来ていたのですが…
現実はあまりにも過酷でした。治験や臨床試験に必要とされた資金は、想像を絶する約2000億円。個人や一企業が背負える規模ではなく、人工心臓の研究を断念せざるを得ませんでした。
この事実を知ると、筒井さんは「諦めた」のではなく「これ以上進めなかった」ことが痛いほど伝わってきます。
✦✧✦ メディア情報 ✦✧✦
— 映画『ディア・ファミリー』公式 (@dear_family_) June 6, 2024
ドキュメンタリー番組の放送決定!
『町工場から生まれた命のカテーテル
不可能への挑戦と家族愛』
🗓️6/8(土)15:30~ テレビ愛知にて
<奇跡の実話>の主人公
宣政のモデルとなった
筒井宣政さんの歩みを紹介✨
舞台となる愛知県からお届けします💐… pic.twitter.com/zfyQtFb4fv
絶望の果てに見えた一筋の光
人工心臓の研究を断念したあと、筒井宣政さんに差し込んだ一筋の光が「IABPバルーンカテーテル」でした。
当時、日本の医療現場で使われていたカテーテルはほぼすべてが外国製。体格の小さな日本人にはサイズが合わず、合併症を引き起こしやすいという深刻な問題を抱えていました。
とはいえ、国内での開発例はゼロ。「できるわけがない」と周囲から冷ややかな視線を向けられる中でも、筒井さんの中には確かな手応えがありました。
町工場時代から培ってきた樹脂加工技術、そして人工心臓の研究で積み重ねてきたノウハウ――それらは、形こそ違えど確実に応用できると信じていたのです。
娘・佳美さんからのことば…
1989年、長年の試行錯誤の末に、ついに国産初となるIABPバルーンカテーテルが完成します。しかしそれは、心臓の動きを補助するもので、娘・佳美さんの命を救うものではありませんでした。
その現実を父として伝えなければならなかった筒井宣政さんの胸中は、想像するだけで息が詰まります。
それでも佳美さんは、『私のことは、もういい』と返します。自分のために人生を懸けて挑戦してきた両親を誇りに思い、『それだけでうれしい』と伝えます。
その言葉には、諦めではなく、深い理解と感謝が込められていました。1991年、佳美さんは23歳という若さでこの世を去ります。
このエピソードを知るほどに、一人の娘を想って始まった挑戦が、やがて多くの命を支える技術へとつながっていく。その出発点にあった親子の言葉が心に残ります。
出演陣の撮影秘話は?
大泉洋さんの撮影秘話は?
出演に際しては…
当初この作品への出演を聞いたとき、正直『気が重い』と感じた――。自分にも娘がいるからこそ、“娘を失う物語”を演じることがあまりにつらかったと語っています。
それでも台本を読み進めるうちに、実際に起きた家族の物語であること、そして娘のために始めた研究が、やがて多くの命を救う“新しい夢”へとつながったことに、とても感動されたそうです。
『この話を知ることで、誰かが少しでも勇気をもらえるなら』そう感じたからこそ、役を引き受ける決意をした――その言葉には、父親としての実感と俳優としての覚悟がにじんでいます。
このコメントを知ったうえで映画を観ると、大泉洋さんの表情がより切実に胸に迫ってきました。演技ではなく“想い”として伝わってくるからこそ、観る側の心にも深く残るのだと思いました。
実際の筒井宣政さんは?
本作のモデルとなった人物に実際に会ったことで、役への向き合い方が大きく変わったと語っています。
80歳を超えてなおパワフルで、言葉にも力があり、困難を前にしても決して諦めない――そこには、戦争で多くを失いながらも立ち上がってきた“昭和の世代”ならではの強さを感じたそうです。
弱音を吐かず、前を向き続けるその姿を心に刻みながら演じたことが、この作品の芯になっています。
菅野美穂さん
本作のオファーを受けた際、筒井家の歩みを聞き、その道のりが決して平坦ではなかったことに強く心を打たれたと語っています。
何度失敗しても諦めず、そのたびに工夫し、再び立ち上がる――そこには、娘を思う父の揺るぎない愛情が確かにありました。その姿に胸を掴まれるような思いになったそうです。
さらに、母・陽子さんともオンラインで直接話を聞き、その気持ちを預かるつもりで現場に立ち続けたといいます。家族が紡いだ奇跡の実話を、真摯に届けたいという思いが伝わってきます。
福本莉子さんの撮影秘話は?
最初に脚本を読んだ時は?
脚本を読んだとき、まず「これが実話なのか」と強い衝撃を受けたと語られています。IABPバルーンカテーテル誕生の背景を初めて知り、その裏に、娘を想い続けた家族の物語があったことに心を打たれたそうです。
生まれつき心臓に疾患を抱え、余命を告げられながらも、常に前向きに生きようとした佳美さん。その姿は「生きることを諦めない、非常に強い女性」だったと感じたといいます。
演じるにあたっては、ご家族から直接、台本には書かれていない日常や思い出を聞き、その一つひとつを心に刻みながら役のイメージを膨らませていったそうです。
3姉妹の関係は?
川栄李奈さんとは今回が2度目の共演だったため、撮影に入ってすぐ自然に姉妹の関係性を築けたそうです。
一方、新井美羽さんとは初共演ながら、たくさん会話を重ねるうちに自然と距離が縮まり、気づけば本当の姉妹のような関係になっていったと語られています。
川栄さんは何でも話せる頼もしさがあり、まさに“お姉ちゃん”そのもの。新井さんは人懐っこく、思わず守ってあげたくなる妹のような存在だったそうです。
川栄李奈さん
台本を読んだ段階から、佳美さんの病状が進むにつれて胸が締めつけられる思いを抱いたものの、物語には悲しみだけでなく「希望」や「光」「勇気」が確かにあると感じ、役を丁寧に大切に演じたいと強く思ったそうです。
信頼する月川監督との再タッグも大きな支えとなり、作品づくりへの喜びがいっそう深まったと語られています。
撮影前にはご家族と対面し、奈美さんから「妹の前では明るく振る舞いながら、陰ではずっと泣いていた」という言葉を聞き、明るい姉としての顔と、心の奥に抱えた痛みの両面を表現しようと役に向き合いました。
松村北斗さん
実話を題材にしているからこそ、この映画には圧倒的な説得力があり、幾重にも重なる優しさと愛情が丁寧に描かれています。
演じた富岡進は、答えの見えない困難に苦しみながらも、自ら答えを導き出す強さを持つ人物で、深い憧れを抱きながら向き合った役だったそうです。
念願だった大泉洋さんとの共演では、空想上の尊敬が、現場での時間を通して確かな実感へと変わり、その存在が作品全体の温度を高めていたと語られています。
月川翔監督の撮影秘話は?
映画化の経緯は?
WOWOWドラマ『そして、生きる』(2019年)のプロデューサーから「こんな実話がある」と聞かされたことが、この映画の始まりでした。
もし映画化するならぜひ関わりたい――そう即座に思った背景には、実話をベースにし、実際に当事者の声を聞きながら物語を紡ぐことで、これまでとは違う映画づくりができるのではないか、という自身の思いが重なっていたといいます。
そんな中で映画化が正式に決まり、声がかかったことは、心から嬉しい出来事だったそうです。
撮影で心掛けた事は?
この作品では、「実在の当事者や医療関係者が見て“間違っている”と感じないこと」を大きな目標に掲げ、徹底した取材が行われました。
実在のモデルである筒井宣政さん(東海メディカルプロダクツ会長)のもとへ何度も足を運び、直接話を聞きながら物語を積み上げていったといいます。
忙しい中でも辛抱強く向き合ってくださった筒井さんへの感謝の思いは、言葉に尽くせないほどだったそうです。
個人的には、この姿勢こそが本作の“揺るぎない説得力”を支えていると感じました。丁寧に現実と向き合ったからこそ、フィクションを超えて心に迫る作品になっているのだと思います。
以上が、映画【ディア・ファミリー】の撮影秘話でした。

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人工心臓や医療機器開発という難しいテーマを扱いながらも、中心にあるのは“娘を救いたい”というシンプルで切実な思い。
事実を丁寧に積み重ね、誇張せずに描いているからこそ、物語に説得力があります。実話映画が好きな人ほど、裏側の努力や現実の重みを感じ取れる作品です。
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大きな展開や劇的な奇跡を期待する人よりも、地に足のついた物語を好む人に向いています。
CGやVFX、ロケ地選びに至るまで「時代や事実に嘘をつかない」ことを徹底した本作は、静かだけれど力強い映画です。
登場人物たちの選択や言葉が丁寧に積み重なり、最終的に大きな感情へとつながっていく。その誠実さに価値を感じる人ほど、この映画の本当の良さを受け取れるはずです。
みんなの評判は?
ディア・ファミリー
— ピット・ココ・クー🐱🐱ᩚ😽🪦💐 (@pitcoco_cinema) November 9, 2025
大きな目標もなく漫然と生きてる身には、人生の目的が明確にあるのはちょっと羨ましい。でも神様はその必要がない人には使命は与えないんだろうという意味では凪の人生も悪くはない。それにまだ先はある。
実話モデルの社長さんの借金返済と資金調達の才能(執念)がまず凄い✨ pic.twitter.com/2YaXfVfShy
アマプラでディア・ファミリー見たら涙腺爆発して信じられないくらい泣いちゃった
— 蒼 (@_AoJrock_) August 26, 2025
Dear流れるタイミングも素晴らしい
本当に良い映画でした
映画館行けなかったけど観れてよかった
未鑑賞の人みんな観て〜🥲
動ける身のうちにディア・ファミリー初日鑑賞してきた。
— さつき (@satsuki_ab) June 14, 2024
誰かのために、どこまでも誰かのために動く家族だったなあ。自分のためでももちろんあるんだけど、それ以上に。
初めのほうに映される0系新幹線とか車内の様子とか名駅の「名鉄ホール」の文字とかにもグッと来た。 pic.twitter.com/8PEPBWEDgh
まとめ
映画【ディア・ファミリー】の撮影秘話について解説しました。
今回紹介したのは、下記の「3点」です。
1.ロケーションの撮影秘話は?
2.実在モデルの実際の秘話
3.出演陣の撮影秘話は?

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